印刷ブログ
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0.1㎜でも再現できたパッド印刷

昨日は先週から受けていたパッド印刷の上部を終わらせた。一度にパッドを押せば500個なので500回で終わるのであろうが、どうも綺麗にいかず上手くいかないので、仕方なく上下に分け、合計1000回押すことになった。それでも調子が出れば4-5時間で終わってしまうので、やろうと思えば1日で仕上げる事もできたが、冬場の乾燥が悪いので1日おいてから2回目の印刷となった。

この案件は昨年から何度も試作を重ね、受注した案件ではあるが、今朝程に終わった印刷を確かめ、改めて細かい印刷だったと認識した。線によっては1㎜以下で、そのような細かい単位を測る物差しが弊社には無いが、1㎜の線よりはるかに細い線であることは確認できた。写真を撮影しようとしても、さすがに私のアイフォンではピントが合わないくらい細かい線らしく、うまく撮影はできないが一応どんな感じなのかを画像でUPすることにしてみた

パッド印刷をやるにあたりいろいろな難関が出てくるが、毎回なんとか解決して印刷ができている。一番難しいと感じるのが治具の作成に色ののり具合であろうか。治具はしっかりと被印刷体を押さえる事ができ、且つ印刷中には絶対にぶれがあってはならない。ぶれが出たり途中でズレが生じればすべての印刷がパアになってしまう。1つの印刷であれば治具はいらないが、何個も何十個、何百個も繰り返す場合や多色刷りの場合は治具が命になってくる。これも毎回作業場にある何かを使って作る場合があるが、時にはホームセンターに出かけて何かよさそうな治具になる材料を探したりもする。

色の場合はシルクスクリーンの時と異なり、パッド印刷のインキ膜の厚みが極端に少ない。素材によっては沈みという現象が生じ、同じ白でも白に見えない場合がある。2度押し、3度押しとやれば解決できるのではあるが、それなりに難しい課題でもある。特に今回のような1ミリ以下のデザインが混じっている絵柄の場合は2度押しができない。できたとしてもインキの潰れが生じるか同じ位置に正確にパッドを落としてもにじみがでるであろうと思う。何百万円もかけて高性能で精密なパッド印刷機を導入すればできるのかもしれないが、そこまでの需要はもはやないと思える。メーカーのラインで何万個も同じものに印刷するのであれば導入は良いのかもしれないが、多種多様なコンシューマー向け(消費者)のノベルティ印刷、それも100個単位やそれ以下の小ロット印刷でそのような高性能なパッド印刷を使えば単価がまず合わないであろう。

色の沈みや再現がシルクスクリーン印刷とは比べ物にならないので、パッド印刷の依頼がある場合は必ず印刷してお見せすることにしている。ほとんどのお客様が納得していただけるところまで再現はできているが、私としてはどうしても職人気質があるので、100%の仕上がりを目指してしまうが、100%の仕上がりができない事は現実であると知った。

小ロット多品種で印刷しなければならない需要がますます増えてくる時代になっていると思う。弊社で受ける印刷は形あるものであればなんにでも印刷はできる。転写技術は無いが、転写はそこそこの機材が揃えばだれでもできてしまうので、あまりやろうとは思わない。その点パッド印刷は機材があってもなかなか上手くいかないのが現実であり、技術に経験、試行錯誤が物を言う印刷だと思う。小ロットで断る印刷会社さんが多いようではあるが、弊社は率先して小ロットの印刷を引き受けている。まだまだ全国ではできる印刷なのに小ロット印刷が面倒で断っている印刷会社さんが多いのかもしれない。
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